仙台駅で駅弁を選ぶ息子

2015年10月31日

今回は長編です。ヒマな人だけみてください(笑)。

東日本大震災によって被災してしまった宮城県の海辺をめぐるバスツアーに,息子と行ってきました。

今回は震災関連でボランティア色の強いイベントなので,息子の楽しみを一つ増やしてやろうと思って仙台駅で駅弁を購入。たまには贅沢しようぜ~。

息子は初めての駅弁で大喜びだが,お父さんのお小遣いは激減してしまったよ・・・。ちょっと調子に乗りすぎた(笑)。

「杜の伝言板ゆるる」の広報誌

今回のバスツアーは「SAVE JAPAN プロジェクト」と言って,NPO団体や損保ジャパン日本興亜さんなどが協力し合って実現している。関連団体については最後に紹介しよう。

私がネットでイベントを検索しているときに,「SAVE JAPAN プロジェクト」と「杜の伝言板ゆるる」の文字が目に付いた。

2013年に「蒲生干潟観察会」をやってくれた人たちで,我が家は干潟観察で初めてSAVE JAPANプロジェクトに参加して,我が家の大爆笑シーンがナレーション入りでテレビ放送されて,今でも宝物になっています。

「名取ハマボウフウの会」のパンフレット

今回のツアーの目的は,被災地沿岸部で激減してしまった「ハマボウフウ」という植物を復活させるため,この植物の理解を深めつつ3ヶ所の砂浜へ行って種を撒くというイベント。

私も息子も「ハマボウフウ」という植物自体を知らないのだが,バス内では半数以上の人が知らないようなので一安心。

この植物を守るため,「ハマボウフウの会」という団体がいくつもあるようだ。

被災地区へ送る黄色いハンカチにメッセージを書く息子

今回訪れる予定の場所は「七ヶ浜」「荒浜」「閖上」の3ヶ所。

「荒浜」と「閖上」では黄色いハンカチの贈呈式があるらしく,バス内では被災地へ送る「黄色いハンカチ」にメッセージを書く。

七ヶ浜の砂浜へ向かう団体

JR仙台駅からバスで40分程度,最初の目的地に到着。場所は七ヶ浜にある「湊浜海岸」。私の自宅からも,だいたい車で40分位で着く場所だ。

堤防は綺麗に整備されているので,震災後に工事を行って復旧したんだと思う。

ここはトライアスロンのコースとしても利用されるらしい。

七ヶ浜の砂浜から漁港側を見る

七ヶ浜の砂浜へ来たのは久しぶりだ!

すぐ近くは何度か来たことはあるんだけど,この場所へ訪れるのはたぶん初めて。

ハマボウフウの種を植える砂浜を歩く

海を見ながら,僅かに残ったハマボウフウがある場所へと歩く。

向こうには,火力発電所が見える。

ハマボウフウの踏みつけや乱獲を防止するための看板

七ヶ浜地区では特にハマボウフウ保護区として設定されている訳ではないようだが,守っていくために看板が設置されている。

もともと絶滅の恐れがあった植物のハマボウフウを「ハマボウフウの会」の人たちが中心になって復活させようと頑張っていたところ,東日本大震災の津波が発生してしまい,ほとんどが流されてしまったらしい・・・。

震災をきっかけに一時は諦めかけていたプロジェクトだが,僅かに残ったハマボウフウを見つけ,取り組みを再開したそうだ。

砂浜に生えている植物を見ながら「ハマボウフウ」を探す

ここまで来ても,未だに「ハマボウフウ」が分かっていない我が家。「踏みつけないでください」って言われたって,踏んじゃいけない植物が良く分からないよ・・・。

エイの卵をもらった

移動中,参加者があるものを発見し,息子に手渡してくれた。

「これ,何だか分かる?エイの卵なんだよ。」

マジすか!帰ってからネットで調べてみたら本当だった!疑ってごめんなさい(笑)。

知ってる人は知ってるんですねー!

ハマボウフウを発見!

海岸の片隅に到着し,小さな植物の前に人だかりが・・・。おお,これが「ハマボウフウ」らしい!私の予想に反して,めちゃめちゃ小さい植物だ。

名前が「ハマボウフウ」だから「浜防風」という事で防風林のようなものをイメージしていたんだけど,全然違うみたいだねー。

ハマボウフウの種

種まきの準備が始まる。これがハマボウフウの種らしい。そして右にあるのはエイの卵。

植物は小さいけれど,種は意外と大きいんだね。

ハマボウフウの種を植える息子

本当に僅かしか残っていないハマボウフウの周辺に,風で飛んでしまわないように少し穴を掘って種を植えていく。

息子が大きくなった頃,この場所に沢山のハマボウフウが育っていると最高だね。

荒浜の深沼海岸前に作られた慰霊碑

七ヶ浜での種まきを終え,次の場所である「荒浜」へ到着。

荒浜地区は津波の被害が甚大で,多数の犠牲者が出てしまった。現在はほとんどの建物が撤去されていて,あんなにあった防風林も,ほとんどが無くなってしまった。

ここは我が家からも比較的近い場所で,私が若い頃は,ここにあった「深沼海水浴場」で海水浴したり,友人とサーフィンを楽しんでいた場所・・・。

ここからはいろいろと悲しい話が続くので,震災関連を思い出したくない人は戻った方がいいかもしれません・・・。

あらはま里浜ロッジで震災のパネルを見る人々

荒浜の深沼海岸近くには復興を目指す人たちの拠点とも言える「あらはま里浜ロッジ」という場所があり,「荒浜再生を願う会」の方々が故郷の復興に向けた活動を行っている。

ここには荒浜地区で起こった震災の写真が多数展示されていて,参加者のみんなで地元の方々から震災当時の話を聞いた。

震災の具体的な話については,コメントは控えようと思います・・・。

あらはま里浜ロッジで育てられているハマボウフウ

そして,この場所でも「ハマボウフウ」が育てられていた。

荒浜と秋保のコラボ企画「ACOLLA」の看板

本当ならこの場所で,荒浜地区と秋保地区,東北工業大学の方々で結成された「ACOLLA(エイコラ)」という団体が,鎮魂の思いを込めた商品開発を行い,この場所で販売する予定だった。

ところが悲しいことに,建物内に商品を並べてオープン直前(2015年10月10日)になってから,建物が放火にあってしまったそうだ・・・。

震災の悲しみを乗り越えて復興を目指そうと第一歩を踏み出した人たちの拠点が放火によって全焼なんて・・・ありえない・・・。

あらはま里浜ロッジで黄色いハンカチの贈呈式

里浜ロッジでは私たちがバスの中でメッセージを書いた「黄色いハンカチ」の贈呈式が行われた。

参加者が見守る中「荒浜再生を願う会」代表の方へ,ウチの息子がハンカチを手渡す。

本当ならオープンしたばかりの建物前での贈呈式になるはずだったと思うが,全焼した建物の跡地で贈呈になってしまった事だけが非常に残念でした・・・。

津波から多くの人を守った「荒浜小学校」

荒浜地区での活動が終わりバスに乗って移動するとき,「荒浜小学校」が目に留まる。

先ほど地元の方々から頂いた話によると,海岸から非常に近くて高い建物が非常に少ないこの地区で,多くの命を救った建物となったそうです。

今ではこの付近に荒浜小学校以外の建物は,ほとんど残っていません。

閖上まちカフェの建物

本当なら「荒浜里浜ロッジ」で昼食の予定だったのだが火災によって建物が無くなってしまったため,最後の活動場所である閖上地区へ移動。主に地元の方々が集う場所「閖上まちカフェ」で昼食。

息子は初めての駅弁に大満足でした!

閖上に建設中の防潮堤へ上る

昼食後,閖上の砂浜にある「ハマボウフウ保護区」へと向かう。

閖上地区も荒浜地区同様,津波によって甚大な被害を受けてしまいました。現在は大規模な防潮堤の建設が進んでいて,一般の人は砂浜や防潮堤付近に立ち入る事ができなくなっています。

ハマボウフウの保護区は立ち入り禁止となっている防潮堤と海の間にあり,工事関係者の許可を受けて特別に入らせて頂きました。

閖上の砂浜に建設中の防潮堤

以前は防風林と砂浜だったのが,防風林はほとんど流されて無くなってしまい,新しく建設された防潮堤がどこまでも続いていく・・・。

閖上は夏祭りや釣り,サーフィン,海水浴,小さい頃はサイクリングセンターで自転車に乗ったりと,若い頃から家族や友人と良く来ていた場所。

しかし今では震災を経て,以前とは全然違う光景が広がる・・・。

息子は震災前の閖上を,たぶん覚えていないだろうなぁ・・・。

ハマボウフウ保護区の脇に置かれた,清掃活動後のごみ袋

砂浜と防潮堤しか無いこの場所に,以前の活動で清掃活動を行ったときのごみ袋が置かれていました。

我が家は震災後初めて来た場所ですが,以前から保護活動が進んでいたようです。

閖上にあるハマボウフウ保護区

ついた!ここがハマボウフウ保護区。

「名取ハマボウフウの会」の方々によって守られている,ハマボウフウ復活の拠点です!

ハマボウフウ保護区の看板

我が家のように「ハマボウフウ」を知らない人たちにとっては何のための場所なのか良く分からないかもしれないので,このような看板が掲げられている。

ハマボウフウ保護区の清掃活動に参加する息子

まずは保護区内の清掃活動から。息子よ,たっぷりゴミを拾ってこーい!

もちろん私も頑張りますよ(笑)。

ある程度清掃活動は進んでいるとの事でしたが,どこへ行っても砂浜ってゴミが多いよねー。

清掃活動後に集められたゴミ袋

ゴミ袋の運搬を手伝う息子。

子供だって頑張って清掃活動しているんだから,大人が海を汚しちゃいけませんよね。

閖上のハマボウフウ保護区で種を撒く息子

そして「ハマボウフウ」の種撒きっす!

お前,意外と働くねー。意外と楽しそうだ(笑)。

足元にはハマボウフウの新たな命が

足元を見てみると,一列に並んだ小さなハマボウフウが。

これで2年目くらいらしいです。少しずつ,新たな命が育ってきています。

工事現場の方々からの挨拶

防潮堤などの工事に携わっている方からのご挨拶。

震災の復興工事に携わる人たちも仕事として工事をするだけでなく, いろんな人たちの思いも取り入れてくれながら頑張っているそうで,ハマボウフウの保護についても応援してくれているんです。

だから「工事,邪魔だなぁ~」とか言ったらダメですよ!

名取ハマボウフウの会へ,黄色いハンカチの贈呈式

そして「名取ハマボウフウの会」代表の方へ,黄色いハンカチの贈呈式。手渡すのは,ウチの息子よりも随分と小さいお子さん。

キミが大きくなった時,以前のような楽しい海に戻っているといいね。

閖上にある「メイプル館」の入り口

保護区での活動を終え,閖上漁港のすぐ近くにある「メイプル館」で休憩タイム。

この場所は「閖上朝市」の会場にもなっていて,閖上地区の中でも特に活気を取り戻しつつある場所。

私が別サイトで以前に書いた,閖上朝市の話はこちら

メイプル館の店内

中に入ってみると,地元生産の品がずらり。

メイプル館の天井には多くの旗が

食事スペースは,こんな感じ。天井には沢山の旗が掲げられています。

食事の時間を大幅に過ぎていたので人はまばらですが,朝市の時は沢山の人で賑わっているんです。

ハマボウフウと種

閖上会場での活動を終えゴールである仙台駅東口へ向かうバスの中,参加者が感想を語る時間が設けられ,それぞれの思いが語られました。

息子は今回のイベントで何を思ったのか分かりませんが,このイベントをきっかけに人や自然を思う気持ちが少し芽生えてくれれば・・・と思っています。

今回のイベントで初めて「ハマボウフウ」を知った我が家。私はこれから砂浜を歩くとき,足元が非常に気になるだろうな(笑)。

自家栽培用に種も頂きまして砂浜でなくても育つらしいので,早速自宅に植えてみようと思います!

参加された皆さん,お疲れさまでした!

今回のイベントに関する団体等のリンク

公式ページなどが見つからなかった団体は,Google検索結果で表示します。